王冠は枷、玉座は檻、王宮は牢獄
実権は宰相の手中に

STORY

十八歳のグラジルアスは復讐に心を燃やす〈傀儡の少年王〉。彼が十三歳で即位した裏には実の叔父リンデン伯爵の陰謀があった。両親を暗殺し妹を幽閉、宰相となり実権を握る叔父に復讐する機会を虎視眈々と狙うグレイの部屋にある日、謎の美少女テュミルが侵入。革命の乙女に導かれ、復讐を果たす力と革命の仲間を得るためグレイは隣国ロフケシアを目指して旅立つ。それが王国の昏い歴史と秘密に迫るとも知らずに。世を震撼させる〈神隠し〉、リンデン派の騎士が持つ〈三本の薔薇〉、魔物出現の謎、〈駄作〉、そして〈白銀の乙女〉テュミルの真意とは。闇の魔術、謎と薔薇の魔法が絡みつく運命の戦いと千年の恋物語。開幕の第一巻。

「あたし〈ひとりぼっちの王子様〉はなんにもできない木偶の坊だって思ってたわ。でもすぐにわかった。あんたは馬鹿じゃない。猫みたいにずっと爪を隠してきたわね」